唐突に、熊谷の話をする。
それはある日、太陽が頭上を通過した時
意味はなく東京駅にいた。
東京駅から適当な電車に乗ったらどこへ行けるのだろう。
なるべく見た事のない景色が見たい。
誰にでもそんな感情はある。
気づけば熊谷にいた。
映画『翔んで埼玉』を見ただろうか
埼玉に興味がない人ほど見てほしいと思う。
映画として、作品として高い評価を受けるべきか
そう聞かれてもあなたを納得させる事は出来ないかもしれない。
ただ、この映画は映画館へ沢山の人を運んだ。
その事実を褒めちぎるべきだと思う。
興業として成り立って初めて次の作品が撮れるのだから、まずはどんな手を使ってでも映画館へ人を呼ぶべきだと、とりあえず業界人の端くれとしてそう思う。
そんな事が頭によぎったために熊谷で降りたんやけど、
兎角何も無かった。
謎に体操服を着た少女たちが列をなしてこの木なんの木を永遠に周回していた。
熊谷で流行りのスポーツなのかもしれない。
流行りのスポーツといえばどうやらラグビーが流行ってるらしい。
その実3時間ほどしかいなかった私が断定するのも失礼かもしれないが
恐らく熊谷にはラグビー場しかない
これだけ広大な土地があるのだからラグビーもサッカーも出来るコートにすればいいのに。
無断使用禁止と書いてあったが、
どうやら憩いの場としてもラグビー場しかないのか
犬もおじさんもおばさんも好んで脇道に脇目も振らずにラグビーコートを横切っていた。
スポーツがその地に馴染むというのはそういう事かもしれない。
兎角、すれ違う皆がお互いを暇人扱いする目で通っていた。
そういえば『飛んで埼玉』のロケは全然埼玉じゃないのだとか聞いた事がある。
埼玉には埼玉らしいと言えるロケーションすらないらしい。
確かにラグビー場を横切るおじさんで映画館に人を呼ぶのは難しい。
主演のガクトと二階堂ふみは沖縄県出身らしい。
よく田舎を褒めようとする人とか、なんとかPRしようとかする人が
「何もないが、そこにある」的な事言ってるイメージだが、
「何もない」を軽く見るな。
人間は道具を使う事を知ってここまで文明を発展させた。
何もないところで何が出来ようか。
「熊谷のみんなには、笑っていて欲しい」
切実が過ぎる。
これ以上書く事はないので今日はここまでである。
Fin.